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【元資格学校勤務】資格学校の特別講座は受けるべきか【一級建築士】

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みなさんは建築士試験を合格するために資格学校に通われていますでしょうか。nabeは最大手の資格学校に通っており26歳で一級建築士に一発合格することができました。また、その後TAという立場で資格学校に勤務していたこともあります。

そんな中でよく聞かれるのが
「特別講座って受けた方が良いの?」という質問です。
今回は特別講座を受けるべきか迷っている人のために資格学校経験者及び資格学校勤務経験者としての結論をお伝えします。

受けた方が良いが受ける必要性は低い

曖昧な回答になってしまい申し訳ないですが、詳しく解説していきます。
まず「受けた方が良いか」という質問に対する答えとしては「受けた方が良い」と答えます。受けてマイナスになることは無いので、当然受けれるものは受けるべきでしょう。

受けた方が良いのはみんな知っていますよね。当然です。
ではなぜ「受けた方が良いか」という質問が出るか。それは単純に金額が高いからなんですよね。私の時は学科講座中に特別講座が3~4回ありました。毎回1科目1万5千円、5科目で6万円くらいだったはずです。全部取ると20~30万円近くになります。ただでさえ資格学校には多大なる金額を支払っているのに、その上さらに徴収させられるのはたまったものではありません。
20万もあったらリゾートホテルで優雅にのんびりできるのに。。。
貧困にあえぎながら年貢を納める農民の気持ちが分かる気がします。

じゃあ高いなら受けなければ良いのでは?

と思うかもしれないですが、厄介なのが「昨年の合格者の90%以上は特別講座を受けている」だとか「新傾向対策なので一般の講座では取り扱わない内容をやる」などといって誘導してくるんですよね。そうすると「すでに高額の支払いをしているからここで渋って落ちたら元も子も無い。受けないのも不安だし受けよう。」となる訳です。

ここでnabeからお伝えしたいのは
「受けた方が良いが、受ける必要性は低い」ということです。
実際に私はすべて受けていませんが107点を取り余裕の学科合格でした。反対に同じ資格学校に通っていて、特別講座を全て取っていた同期や先輩が落ちていたので正直合否に影響が出るレベルではないのです。

「昨年の合格者の90%以上は特別講座を受けている」と、
「特別講座を受けた人の90%以上は受かっている」は全然違います
からね。後者だったら受けるべきでしょうが、前者は何の安心材料にもなりません。もしかしたら受講生の90%以上がそもそも受けている可能性だってあるのです。

過去問をしっかりやるに尽きる

なぜ特別講座が合否に影響が出ないか(もちろん0ではありませんよ!)、たった125点満点の試験に対して必要な勉強時間は600時間~1000時間と言われています。問題数で勉強時間(ここでは間を取って800時間とします)を割ると、1点に対しての勉強時間は
800時間÷125点=6.4時間/問
になります。

では特別講座の講座時間は何時間か。
5科目取っても約10時間、3~4回開催されるので全て受けても約30~40時間です。(まずありえないことですが)全ての内容が仮に試験に出たとしても特別講座で勉強した内容というのはせいぜい
40時間÷6.4時間/問=6.25問分です。
もし実際に出るとするともっと少なくなるので、せいぜい3点くらいでしょうか。

そうすると20~30万円かけてまで本当に受ける意味があるのか分からなくなってきますよね。しかも特別講座をやっている間も自分一人で勉強することはできますので、単純に差が付くわけではありません。特別講座の果たす役割は微々たるものだと思います。

出るか分からない新傾向対策という不確実なものよりも、確実に出る過去問をひたすら繰り返しひたすら間違えてひたすらテキストを引く、ということを実直に繰り返す方が遥かにコスパが良いです。現に新傾向対策講座など一切取っていない私ですら100点台後半を取れたのですから。

特別講座対策のおかげで得られるかもしれない3点に20~30万円と数十時間かけるなら、同じ時間をお金のかからない通常の講義、テキスト、問題集をやることをおすすめします。

安心をお金で買うな

冒頭の質問を言い方を変えるとこうなります。
「お金がかかるから特別講座は受けたくないけど、みんな受けてるみたいだし合格者もほとんど受けてるから、受けないのは不安」

大体がこんな感じです。必要性を感じて受けているというよりも本当は受けたくないけど漠然と不安だから受けよう、という人が大多数だと思います。

声を大にして言いたいことですが、
決して「安心をお金で買う」ということはしないで下さい。

お金で買うべきなのは、
・モノ→勉強環境を整えるための椅子や机、筆記用具
・ツール→暗記アプリなど勉強支援になるもの
・時間→食配サービスや外食を利用することによる家事の時短

などです。

「合格者の何割が~」とかいう謳い文句に流されないで下さい。試験の合格率に流されないで下さい。合格率15%程度の学科試験を受けて、あなたの15%は合格だけど85%は不合格、ってはならないですよね。
あなたには受かるか落ちるか、100か0かしかないのです。

自信を持つために必要なのは、お金を払って特別講座を受けることではなく、ひたすらコツコツと継続して勉強する以外に無いのです。むしろそれをしていれば模試の点数がある程度取れているはずなので”特別講座を受ける”という選択肢は出てこないと思います。

製図となると話は別

と、ここまで特別講座の無意味さを説いたのですが製図の場合は話が別です。
中には「いや、製図も要らんだろw」とか思う方もいるかもしれませんが、個人的な感想と経験から必要性を書いていきます。

まず条件として
・初受験で初製図
・設計事務所勤務し2年目での受験
・意匠設計者

という立場での意見となります。

時間的な制約を乗り越える

学科試験は長丁場であり1年程度かけてじっくり勉強をすることができます。nabeは最初の方から継続的に勉強をしていたためアドバンテージを持ったまま学科試験を終えることができましたが、製図試験はそうはいきません。

昨年度の受講者や建設業界の先輩たちとたった2.5か月で同じ土俵で戦わなければなりません。そのタイトなスケジュールではどうあがいても時間的なアドバンテージが取れません。むしろ取られている状況です。従って少しでも多く勉強時間を確保する必要があります。

課題数(作図数)をこなせる

初製図となるとまず図面の書き方からやり始めなければなりません。エスキスのコツや説明文の書き方など製図対策用に0からスタートです。いくら実務で図面を描いていたと言っても、ドラフターを使った手描きでA2サイズに作図する機会なんてほぼ無いと思いますので、慣れが必要です。
また、手描きでもすべてフリーハンドが良いか、一部フリーハンドが良いか、全て定規を使うかなど、個々人によって得手不得手が見えてくるためにはある程度課題数をこなし、さらにそれを自分のものにする時間が必要です。
学科と違い製図は毎年内容が変わるため、練習をしようにも階段や添景を描くなど部分的な作図時間短縮や作図の質向上をすることは可能ですが、それ以外の肝となるエスキスや作文は勉強がしにくいです。
そういう意味で課題数をこなせる点は作図力やエスキス力向上のために良いと思います。

さらに、本番ではどういう問題が出るか分からないため、多様な条件の課題を解いておいた方が有利です。製図の課題はなかなか自分で作れるものではないので、多様な要求に対応して課題を解いておき、何が来ても良いように準備しておくというのは大事かと思います。私の年には幸運にも特別講座でやったものと近しい条件だったので、私は受けた甲斐があったなーと思いました。
ただし、これは運なので結果論ではありますが。

まとめ

今回は資格学校で特別講座を受けるべきか、という内容について実際に資格学校に通った経験と資格学校で教えていた経験から書きました。
結論としては、
学科は不要、製図はできたら受けるべきと考えます。
とはいえ、各々お金や時間に関する優先度は変わると思いますので、参考にしていただき最良の選択をしていただければ幸いです。

ぜひ資格取得に向けて頑張って下さい!

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