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アトリエの意匠設計者が再開発プランナーの資格を取得しようとした理由

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どうも、nabeです。
本日はアトリエの意匠設計者である私が、なぜ再開発プランナーの資格を取得しようとしたか、その理由を書いていこうと思います。

再開発プランナーとは

そもそも再開発プランナーとはどういう資格なのでしょうか?

「再開発プランナー」は一般社団法人再開発コーディネーター協会が毎年一回行う再開発プランナー試験に合格し、登録を行った者に与えられる専門技術者としての称号です。

http://urca.or.jp/planner/about.html

建築士のような国家資格ではなく、民間の資格ですね。
試験の内容としては下記ようなものです。

都市再開発事業(都市における土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に寄与する建築物及びその敷地の整備に関する事業をいう。)の企画、調整等に関する知識及び技術の水準を審査するため、都市再開発法をはじめ都市計画法、建築基準法、区分所有法、借地借家法、不動産鑑定評価基準など再開発に関する法規等の知識や事業計画、権利変換計画の作成などに関する技術についての筆記試験を行い、その合格者に対して実務経験審査を行います。筆記試験及び実務経験審査に合格し登録を受けた者に対し「再開発プランナー」の称号を付与し、証明等を行います。

http://urca.or.jp/planner/about.html

要は、

都市開発事業を企画・調整する上で必要な各種関係法規
事業を成立させるために必要な事業・資金計画等

の2点について理解があるかどうか筆記試験を行うということです。
筆記試験が通れば実務経験の審査があり、この審査が通れば晴れて再開発プランナーになれる、という流れです。実務経験の審査は建築士試験と比較するとそこまで厳しくないので、そこまで落ちることはありません。

なぜ再開発プランナーの資格を取ろうと思ったか

ではなぜ再開発プランナーの資格を取ろうとしたかの経緯を書いていきます。

再開発プランナーを取るのは都市コンサルやデベロッパーが多い

再開発プランナーとは名前の通り、再開発をプラン二ングする人のことを指します。このプラン二ングという言葉ですが、いわゆる本業の意匠設計で言うところのプランニングとは意味合いが異なります。
意匠設計では形を決めるプランニングですが、再開発プランナーのプランニングは事業計画の意味合いが強いです。

したがって再開発プランナーを持っている人、もしくは取ろうとする人の多くは都市コンサルの方やデベロッパーが大半です。設計事務所やゼネコンで持っている人も一部いますが、その人たちは設計者というよりも開発担当の部署にいることが多く、いわゆる設計部隊とは別な所属であることが大半です。

カタチを作るのが意匠設計者だとするとカタチに行きつくための枠組みを作るのが再開発プランナーの仕事と言ってよいのではないかと思います。

意匠設計者が再開発プランナーを勉強する理由

ではそんな再開発プランナーをなぜ意匠設計者であるnabeが取ろうと思ったか。
それは

適切なタイミングで適切な提案をしたい

という思いがあるためです。

いやそんなの当然でしょ!

と思われるかもしれませんが、詳しく説明します。

再開発という事業は一般的な設計業務と比較して非常に難しいプロジェクトです。難しい理由を列挙すると
・大規模
・利害関係者が多い
・関係法令が多い
・複合用途が混在
・長期に渡る
 etc...

などいろいろあります。
特に個人的に重要だと思ったのは利害関係者の多さです。
どんなに素晴らしい計画でも、利害関係者の合意を得られなかったら全てがパーになるのが再開発の難しいところです。通常の設計業務のように施主が1人(もしくは1社)の場合と比較し、いろいろな人と会話をし要望をまとめ上げるというのが非常に重要になります。

再開発の場合多岐に渡る立場の方が関わってきます。
例えば
・各行政機関
・景観審議会(行政機関とは少し別物)
・地権者
・デベロッパー(組合員としての参加)
・ゼネコン(組合員としての参加)
・設計者(組合員としての参加)
・周辺地域の方
 etc...

こういった利害関係者の関わり方もフェーズによって変わってきます。
行政機関とは都市計画や地区計画の解釈や要件整理の話をしたり
ある時は防災の観点やイベント利用の話をしたり
景観審議会とは景観的な考え方、色彩や街への配慮の話をしたり
地権者とはそれぞれの意向を聞き設計要件に反映させたり
デベロッパーとは各用途の面積配分などを考えながら最適な事業収支を実現できつつデザイン的にも良い設計をできるように話をしたり
ゼネコンとは工事費を見据えながら設計を進めたり
周辺地域の方には計画建物による影響について話をしたり

色々な人と異なる視点で話をする必要があります。もちろん実際に地権者と話すのは設計者である私ではなく、デベロッパーが話したりすることが多いですがそのための資料作りはします。

適切なタイミングで適切な提案をすることの重要性

そういうことをしている中で、それぞれの立場からの意見をくみ取りつつ事業を推進するために、設計者として重要なことは

適切なタイミングで適切な提案をする

ということだと考えるようになりました。

景観の話をするのに事業収支の話をしてもしょうがないですし、自分の土地がどういう権利があって開発の後どうなるか気になる地権者にデザインの優れているところをプレゼンしても意味がないです。

特定のフェーズで、利害関係者が何を求めていて、それに対する設計者としてベストな回答は何か?ということを知ることができれば事業推進がスムーズに行くと考えました。

以上がnabeが意匠設計者として再開発プランナーを取得しようと思ったきっかけになります。

まとめ

今回はアトリエ勤務の意匠設計者が再開発プランナー資格を取得しようとしたきっかけについて書きました。今回はたまたま再開発の仕事において再開発プランナーという資格があるため取得をしようと考えました。しかし、再開発に限らず、適切なタイミングで関係者が求めている適切な提案をできるということは建築設計の仕事では不可欠です。

どんな仕事であろうとこの基本姿勢を持つことがより良いプロジェクトに欠かせないことだと思います。

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