今回は少しかたい話ですが、仕事を進める上で
”契約関係を把握すること”の重要性を書いていきます。
建築設計事務所での経験を元にしておりますが、
他業界でも本質は変わらないと思いますので、幅広く参考になれば幸いです。

業務内容の明確化
皆さんは仕事の契約関係を把握していますか?
契約というと少し難しい印象を持つと思いますし、
そもそも、契約書や見積もりは上司や経理・総務が行うことが多く、
目にする機会はあまりないと思います。
nabeは個人のアトリエ建築設計事務所勤務ですので、
若手の時から契約や見積もりを目にする機会が少なからずありました。
実際の業務で契約関係を知らなかったために怒られたりした経験も多々あります。
ですが、それらを知ることによって、
仕事の全体像を把握でき、プロジェクトの進め方もうまくなったと自負しています。
なぜ契約関係を把握することが重要か?というと、
お金の流れとそれに対する対価の流れが可視化させるためです。
お金と対価
という構図は世の中全ての業種に当てはまります。
レストランであれば
”お金を払う代わりに料理や空間を提供する”という契約(あえて契約と言います)ですね。
これは皆さん分かりやすいと思います。

では建築業界での一例を見てみましょう。
例えば、
”発注者(施主)が受注者(設計者やデザイナー)にデザインをお願いする”
という契約をしたとすると、
受注者はお金をもらって設計やデザインをしますね。
これも分かりやすいと思います。
実際は契約はもっと複雑ですが、
誰が誰からお金をもらって、その代わりに何をするか
ということが分かると、自分が何をすべきかが明確になります。

契約関係によって立場が変わる
ではさらに進んで、
例えば、クライアントと設計者の他にインテリアデザイナーが参画するパターンを見てみます。
そうすると契約関係は下記のように幾つかの方法が出てきます。
①クライアントと設計者の契約後、設計者が下請けとしてインテリアデザイナーと契約
簡略化すると、クライアント⇔設計者⇔インテリアデザイナー
②クライアントと設計者の契約と別にクライアントとインテリアデザイナーが契約
簡略化すると、クライアント⇔設計者、クライアント⇔インテリアデザイナー
③クライアントと設計者、インテリアデザイナーをまとめて契約
簡略化すると、クライアント⇔設計者&インテリアデザイナー
それぞれ、似ているようで違います。
どう違うか詳しく見ていきましょう。

①だとインテリアデザイナーのデザインに設計者がコメントしたりクライアントに説明したりします。(※もちろんケースバイケースですが、一旦分かりやすくしておきます。)
あくまで設計者がメイン、インテリアデザイナーが下請けというイメージです。
ですので、極端に言うと設計者が気に入らないデザインならNOと言える訳です。
設計者のお金でインテリアデザイナーを雇っている構図です。
②だと設計者とインテリアデザイナーは対等です。
設計者とインテリアデザイナーで必要に応じてデザインの調整はしますが、
もし設計者が気に入らないインテリアデザインでも、クライアントがOKなら通ります。
クライアントのお金で設計者とインテリアデザイナーを雇っている構図です。
③だと設計者とインテリアデザイナーは対等ですが、
②と違ってニコイチのような関係ですので、きちんと調整した上でクライアントのOKをもらう必要があります。
クライアントのお金で設計者とインテリアデザイナーを雇っている構図なのは②とおなじですが、関係性は変わってきます。
このように、どういう契約関係かを理解することで、
関係各社に対してどういう対応をすべきかが分かってきます。
契約関係が変わると立場が変わるため、進め方もおのずと変わってくるからです。
・決定権は誰にあるか
・スケジュール調整を誰が行うか
・打合せやプレゼンは誰が主導で行うか
・どこまで口を出して良いか
などが分かると、業務全体を俯瞰しやすくなります。
そうすることでより円滑に仕事を進めることができます。
したがって、契約関係を把握することは業務全体を把握することにつながってゆきます。
もちろん新卒なので契約どうこうよりも、まずは目の前の仕事に精一杯取り組む必要があります。しかし、上司はこういったことを踏まえた上でプロジェクトを回していますので、この思考が少しでもあることで上司が次に何をしたいかやゴール設定がより明確になり、そこが明確になると自分の行っている作業のスケジュール感や量、クオリティにも自ずと変化が表れてゆきます。
少しでも参考になり、より良い仕事につながれば幸いです。
