建築コンペのCGパースでは広場やアトリウムにアート作品を置いたり、美術館の展示をいれているビジュアルが多いと思いますが、それらを見ているといくつか共通点やよく見る作品があったりします。今回はそれらの建築CGによく出てくるアート作品および作家をご紹介します。
海外のアーティスト
ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)
ルイーズ・ブルジョワは六本木ヒルズやビルバオのグッゲンハイムにあるママンという蜘蛛の作品が有名です。CGによく出てきますね!
ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)
ジェフ・クーンズは縁日などで見るような風船で作った犬のような作品が特徴的です。可愛らしくわかりやすい上にインパクトがあるのでよく使われがち。
アレクサンダー・カルダー(Alexander Calder)
アレクサンダー・カルダーはキネティック(動く)彫刻で有名です。天井から吊られたり、絶妙なバランスでやじろべえのような佇まいの作品が特徴的です。天吊りのアートは置き型に比べると少ないので使われやすいのでしょう。
イサム・ノグチ
日系アメリカ人の彫刻家で日本でも有名なイサム・ノグチ。彫刻だけでなく多くの照明器具のデザインもしているためCG内の照明として目にすることも多々あります。2021年には東京都美術館でイサム・ノグチ展が行われており大盛況でした。
リチャード・セラ(Richard Serra)
ビルバオのグッゲンハイムの中にもある薄い鋼板で作られた有機的な迷路のような作品が有名。シンプルながらも力強く、サイズ感も大きいため大空間や広場、アトリウムなどにも配置しやすいのが人気の理由でしょうか。また、上からの見下ろしのアングルで形状のダイナミックさが見えたり人が使っている雰囲気を見せやすいのも理由かもしれません。
アニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)
円形の鏡面やブラックホールのような漆黒の円など造形はシンプルながらもいろいろな解釈や意味を感じさせる作品があります。シンプルゆえに作家性があり分かりやすいのが、CG内で使われるものに共通する理由の1つになっているような気がします。一目でわかる、一目で引き付けるというのが重要ですからね!
ロン・ミュエク
またまた一目でわかる作家です。十和田市現代美術館にある巨大なおばさんの彫刻”スタンディングウーマン”や、しゃがんでいる巨大な男の子の彫刻"ボーイ"など巨大でリアルな彫刻が有名です。日本では十和田市現代美術館があるので前者が有名ですが、CGによく入っているのは後者のボーイが多いですね!
ジャコメッティ
建築関係者の中でも人気の高いデンマークにあるルイジアナ美術館。そこに置かれている細長い骸骨のようなシルエットの彫刻が有名です。
日本のアーティスト
草間彌生
斑点のあるかぼちゃで有名。その形の可愛らしさや色彩のインパクトからCG内のにぎやかしに人気なのかなと思います。分かりやすさ、形状や色彩の特徴が色濃く出る作家さんが選定されやすい傾向にある気がしますね
村上隆
お花のかたちをしたキャラクターのカイカイキキで有名。こちらも先述のとおり特徴的で分かりやすい形状やキャラクター性、色彩(下の画像ではゴールドですが、基本はカラフル)が好まれているのかなーと感じます。
まとめ
コンペのCGでは独自性やインパクト、ぱっと見の分かりやすさが求められます。そういった際に、空間の見せ方として分かりやすく、特徴のある作家さんの作品を配置することでにぎやかしの役割を果たしていそうですね!
また、上記の作家の作品が置かれている場所は有名だったり人気の場所が多く、作品のイメージが付きやすい人が多いと思います(例えば六本木ヒルズのママンなど)。そうすると、CGというこれから作る未来の空間の雰囲気やサイズ感などをイメージするためのヒントになる役割を果たしている気もします。「現状このアートが置いてあるあの素敵な空間みたいな場所ですよ!というメッセージ性もあるのかもしれませんね。