設計者や建築を学んでいる学生なら、色々な建築やデザインのソフトを使った経験があるかと思います。しかし、どういうソフトを使うかは、学校の先輩やインターン、アルバイト先、就職先によって大分異なってきます。
今回は、アトリエ勤務で一級建築士、海外設計事務でインターンをしていたnabeの経験に基づいた実務で使えるソフトをご紹介します。
ソフトがありすぎて何を学べばいいか分からない!
ソフトの名前は聞いたことはあるけど何をするものか分からない!
nabeの使えるソフト一覧
nabeは大学、大学院で
住宅系のアトリエ
日本最大の組織設計事務所
日本一の売り上げを誇るゼネコン
海外設計事務所でのインターン
設計事務所でのアルバイト
をしていましたので、かなり色々なソフトを使った経験があります。また、趣味というか部活内で動画作成をすることがあったためグラフィック系のものも多少使えます。
もちろん、アトリエ勤務なので事務所でも色々使っています。

割と何でも使えるよ!
- Autocad
- Vctorworks
- Archicad
- Rhinoceros+Grasshopper
- Sketchup
- 3dsmax
- Form Z
- V-ray
- Lumion
- Twinmortion
- Photoshop
- Illustrator
- Indesign
- Premier Pro
- After Effect
一覧にしてみると色々使えるもの多いですね。本当はもっとプログラミング系をやってみたいので、今後勉強していこうと思います。あとはBIMですね。
Revitは少しだけ触ったことがあるのですが、きちんと1つのプロジェクトを通しでやったことが無いのでまだまだ初心者です。アトリエ勤務でBIMやっているところってどのくらいあるのであろうか。。。
と、こんな感じで色々使えるnabeの経験を基にお送りします。
CAD系
Autocadが一番主流です。
ただし、Vectorのところもたまにあります。
あと多いのは、大手企業がお抱えと言いますか、やり慣れている設計事務所を持っている場合(マンション事業に多い気がします)、JWcadを使っているケースをよく見ます。本当にマンションだけやっているような比較的規模が小さい設計事務所が使っているイメージです。
やはり金額の問題でしょうかね。
大手組織設計事務所とJVになったりする場合、やはりAutocadが一番多いと思います。
nabeの関わった案件では、Autocad:JW:Vectorは7:2:1くらいのイメージです。
ただ、VectorとAutocadは割と操作性は似ているかと思いますので、どちらかを使っておけばすぐに慣れるでしょう。
JWはすみません、使ったことが無いので不明です。
Autocadは海外インターン時の事務所で、
Vectorworksは大学の時アルバイトをしていた大手設計事務所で使っていました。
モデリング系
これは賛否両論あるかと思います。
事務所の種類や規模、用途によって使い勝手が良いものが異なるので。
個人的にはRhinocerosが一番だと思っています。
拡張性が高く、Grasshopperをはじめ様々なプラグインに対応しているところが非常に良いです。
また、モデリングの作り方も複雑ではないので分かりやすいのが良いかと思います。
作ったサーフェースの任意の場所の線を取り出せるような、オブジェクトの互換性というか行ったり来たりできる点が気に入っています。
海外インターンしていた事務所で使っていました。
3dsmaxはモディファイヤの概念がその他のモデリングソフトと違うので、初めは慣れないと思います。なので、モデリングソフトの導入としてはどうなのかな?と思います。
ただ、その分色々できることも多いと思います。髪の毛とか作れるのを初めて見たときは本当にすごいなーと思いました。
AutodeskなのでAutocadとの互換性が高いのも良いです。ただ、どの程度使っている事務所があるかは不明です。ちなみに知り合いのCGデザイナーは3dsmaxの使い手でした。
大学の時アルバイトをしていた 大手設計事務所 で使っていました。
Sketchupは直感的で分かりやすいので、ボリューム出しや基本設計レベルなら良いと思います。
その他のモデリングソフトと異なって、座標という概念が無い(※あるっちゃあるけど、寸法で示されない)のでそこはCAD的な雰囲気のある3dsmaxやRhinocerosとの大きな違いかと思います。
また、違いと言えばマテリアルの見せ方は割とそのまま出てくるので、上記2つのソフトよりも色や素材は見やすい気がします。
クライアントに見せながら動かしたりする場合に適しているかと思います。
あとは、デフォルトのままだと全然使い物にならないというかできることが少なすぎるので、プラグインを入れるのは必須ですね。
その代わり入れたらめちゃくちゃ幅が広がります。
ちなみにSketchupの超効率アップの記事もあるのでぜひご一読ください。
Archicadは何といってもBIMとして役立つのが良いですね。
これを使っていたのは大学生時代にインターンをしていたゼネコンです。
その当時はM1だったので7年くらい前でしょうか。やっとBIMというものを使い始めようということで新入社員の人と一緒に使い始めたのを覚えています。
Rhinoceros+Grasshopperとの連携もできるので、うまく使えればとても有効なツールですね。日建設計とかがやっています。日建設計のように、巨大プロジェクトかつアルゴリズミックデザインや環境や構造シミュレーションをできる力がある会社では有用な組合せだと思います。
小規模アトリエなどで使っているところはあまり無いのかなと思います。
色々なソフトを使うということは専門領域を広げる(できることが広く深くなる)一方で、それらを一定のルールに統合しなければいけない、ということです。
きちんとしたプラットフォームを作れる挑戦心と能力とかけられるコストがある会社(つまり大企業)でないとなかなか難しいのかなと思います。
できたら便利なのはみんな分かっていてもなかなか踏み出せないのが現実ですね。
レンダリング系
Lumionが今は一番良いと思います。
3年前くらいまではV-ray最強だと思っていたんですが。
Lumionの良いところとして、直感的にアウトプットのイメージが何となく分かるところです。
- 照明入れるとレンダリング前でもちゃんと光る
- 太陽とか空の設定とかその場で変えながら見れる
- マテリアルの反射率透過率もその場で変えながら見れる
- 木々が3Dですでにあるので(種類はもちろん限られてるけど)リアルな植栽が入れられる。特にphotoshopで合成してた時に悩ましい樹木の影が綺麗になるのが嬉しい
- 人も3Dがある、家具とかも。(これも種類が限られているけど)
- Lumionで入れれば良いので、モデリングデータの方に3Dの植栽とか人とか入れる必要無いからデータが軽い
- ムービーが簡単に作れる
などなど、分かりやすさがウリです。

ただ、Ctrl+Zが無いのだけはどうにかしてくれ!!!!!
V-rayはやはり光とか陰影は特に綺麗ですね。
めっちゃきれいです。
ただ、RTレンダーがありますが重くて、全然リアルタイムレンダーじゃないんですよね。PCのスペックの問題かもしれませんが、少なくともLumionよりは重いです。
あとはパラメーターが多すぎなので、CG屋さんみたいにめっちゃ詳しくて使いこなせる人なら良いかもしれませんが、設計をやっているからしてみるとレンダリングだけに時間をなかなか割けないんですよね。
そういう人にとってはパラメーターが多すぎな気がします。そしてパラメーターを変えてもレンダリングしてみないとなかなか分からないというのが難点。
要は難しいってことです。
Twinmortionは基本的にLumionと似たものと思ってもらってOK。
それぞれ操作性は一長一短だけど、仕上がりはLumionのが良いですね。
ただ、2020年初頭まで無料キャンペーンをやっていたり顧客獲得に向けて力を入れているので、これからLumion同様伸びてくるかもしれません。
使いやすいのでまずはこちらで無料で始めるのもありかも。
デザイン系
仕事で一番使うのはPhotoshop、次にIndesign、最後にIllustratorです。
Photoshopは色味調整や合成しかしたことないような人が多々いるんですが、海外の人に比べて日本人はPhotoshop技術が低いように感じます。
その分模型や模型写真は綺麗ですね。
海外の学生は模型下手な人本当に多いです。その代わりデジタルファブリケーションをやっているケースが多く、3Dプリンターやレーザー、CNCを使ったことがある人が多いですね。本物の素材を使って模型を作る感じです。
話がそれましたが、Photoshopは思っている以上にできることがいっぱいあります。
ぜひ学んでほしいと思います。
特にレタッチの技術はCG作成に必須です。CGはレンダリングとPhotoshopの重要性は5:5くらいだと思ってます。そのくらいレタッチは重要です。
例えばこんな感じ(拡大縮小しているので完全に同じアングルではないですが。)


Photoshopのテクニックはまた別の機会に!
Indesignは資料作成によく使います。
人によってはパワーポイントの人もいますが、正確性はIndesignが抜群ですし、リンクの更新も簡単なのでぜひ覚えてください。
特に卒論や修論を描く時はワードで書くよりもIndesignで書くほうがめっちゃ楽なのでそれを機に挑戦するといいと思います。
nabeは卒論はワードでしたが、修論はIndesignでやりました。
Premier ProとAfter Effectは専門外なのでここでは割愛しますが、使えるとコンペのプレゼンなどでムービーを作れ時に重宝します。
まずはレンダリングで動画を作れるようになってから、音楽と文字入れくらいを頑張ればいいと思います。これはnabeもまだまだ勉強中ですので、ともに頑張りましょう。
結局どれが良いのか
一応nabeのお勧めは、Autocad+Archicad+Rhinoceros+Grasshopper+Lumionです。
ですが、先述のとおりどういうところで働くかで全然異なります。
元も子も無い話ですが、各企業には採用情報がありますのでそこの募集要項を見ると、
○○を使える方優遇
という文言がよく見られます。
こういったところを頼りにしてゆけばいいと思います。
また、自分が使えるところソフトを採用している会社ばかりを探す必要もありません。あくまでソフトというのは建築やデザインを検討、業務の効率アップのための1つのツールですので、入社してから覚えるので全然構わないと思います。
ただし、できなくてもしょうがない、という態度ではNGなので学ぶ姿勢は必要です(ソフトに限らず仕事全般に言えることですが)。
ただし、少なくとも上記お勧めのソフトが使えれば、あとは別なソフトになっても作図の考え方やモデリングの仕方などは通じるところは多々あります。
まずは何か1つでも使えることが大事です。
そして少しづつ使えるようになれば良いと思います。
習得めざして共に頑張りましょう。