今回は建築デザイナーでもあり個人投資家(と名乗るには大したことはやってない上に金額も大したことないですが。笑)でもあるnabeが、投資の超基本「長期・分散・積立」について解説します。
・投資は損しそうで怖い
・投資はギャンブルだからやるべきではない
・投資を始めたいけど、何をどうしたらいいかさっぱり分からない
・長期・分散・積立って聞いたことはあるけど実際どういうこと?
と言った、投資初心者の悩みにお答えします。
投資は怖いことなのか
投資は怖い という声をよく聞きます。自分自身も始める前はそう思っていました。
なぜ怖いと思うのか?いくつか理由が考えられます。
投資について学ぶ機会が無い
日本をはじめ世界の多くは資本主義社会です。資本主義社会で生きている私たちにとって投資は切っても切り離せない関係です。投資によって資本を大きくし、大きくなった資本でさらに資本を大きくし、一部を分配して投資家に還元する、というのは株式会社の仕組みです。クラウドファンディングもある意味同じような考え方に基づいているとも言えます。
身近なシステムであるにも関わらず、日本の教育では学校でも家庭でも社会でも投資について正しく教育してくれる場所は皆無です。自分自身もそうでした。
そんな社会で「株で大損して夜逃げした」だとか「FXで大金を溶かして自殺した」だとかセンセーショナルにメディアで大々的に取り上げられるもんですから
投資=危険で悪いこと
という印象が生まれたり、反対に「投資で1年で1億稼いだ男の方程式」のような、札束であふれた部屋で女性をはべらしている男の本があったりすると「明らかに怪しい」と思うわけです。
また、労働の美徳もあります。「お金は額に汗して稼ぐもの」という価値観の人も大勢おり、楽して稼ぐなんて言語言語という思想ですね。これも投資をしにくい状況を生んでいる要因だと思います。
つまり、投資について正しい知識を持っていないことが原因です。よく分からないものを怖く思うのは当然のことですからね。
資産が減る怖さ
人は同じ金額でも得る時よりも減る時の方が心への影響が大きい、という科学的なデータがあります。マーケティング論でも有名な話ですね。
「お金を増やしたい!」と思うものの「減る可能性があるならやらない方がいいか」となるのです。銀行に貯金していればほとんど増えないものの、減ることもありませんから安心です。
なんとか今の生活ができているため、リスクを冒して資産を増やすために投資をするという選択はしにくく、少なくとも今あるものを確保しようという思考ですね。
”投資をしない怖さ”を知る
一方、投資をしている人は
「投資をしない怖さ」を知っています。
投資をしない怖さとは、例えば貨幣価値変動による相対的な資産の目減りです。
みなさんは30年前の100円と2020年の100円を同じ価値だと思いますか?そんなわけないですよね。当然です。物価は上昇し、賃金も変わっていますので、同じ100円でも時代によって価値が異なります。
現在、日本ではデフレ脱却のために物価上昇率を前年度の2%を目指す指針を打ち出しています。つまり100円で買えるものを1年で102円に、次の年には102年から104.4円に…ということです。そのために量的緩和を目的とするマイナス金利が未だに続いています。
もしあなたが100円を貯金してたとします。2%の物価上昇が実現したら1年後には100円のものが102円になっています。100円で買えていたはずのものが102円出さないと買えないということは
相対的に2円損してる
ことになります
現在の定期預金は定期預金等でも良くて0.1%程度です。通常の預金であればさらに下がり0.01%という状態ですので、銀行に預けている利子では2%の物価上昇に対しては焼け石に水です。
投資をしたら100円が90円になってしまった、という絶対量の増減は理解しやすいため「怖い」という感覚が出るのですが、こういった物価上昇による相対的な損失というのは分かりにくいためあまり話題にされず、盲信的に「貯金している方が安全」と思っていることのほうがむしろ怖いということに気付かないのです。
nabeが現在30歳、仮に70歳で年金をもらうとします。40年間仮に2%の物価上昇率を維持したとすると現在100円のものはどうなるか。

なんと約2.2倍の221円になります。
老後に足りなくなるお金が2000万円と言われていますが、あくまでそれは現在の物価での生活水準の話です。もし物価が2.2倍になったら必要なお金も2.2倍になりますよね。すると貯めなきゃいけないお金は2000万円の2.2倍の4400万円に膨れ上がるのです!
もちろん、
・物価上昇率2%には現状まだまだ程遠い
・物価上昇はある程度安定したら終える方針なので40年間続くことはない
・インフレになれば銀行金利や給料も併せて上がる可能性がある
といったこともあるので、上記のように単純ではありません。
ただし、お金の絶対量の増減だけではなく相対的な増減という概念もあるんだよ、ということを覚えていただければと思います。
金融庁も推奨する投資の超王道「長期・分散・積立」
ではどうしたら”怖さ”を無くしながら投資をできるかを考えます。投資の王道、「長期・分散・積立」がなぜ良いのかを説明します。
というか金融のプロでもないnabeが説明するよりも、金融庁が出している指針を見るほうが分かりやすくて速いと思います。笑
こちらは金融庁が出している積立NISAのまとめですが、簡単に説明されているため投資初心者にはお勧めです。
とはいえ、金融庁よりも一個人の話の方がリアリティや切実さがあるので共感しやすい!という利点もあるかなーと思いますので一応書いていきますね。
投資の怖さを分析する
なんとなく無根拠で投資が怖い、と思っても仕方ないです。なぜ怖いか、をしっかり考え分析し対策を練る必要があります。
怖さを言い換えると、お金や資産が減ったり無くなったりすることで、日常生活が制限されたり脅かされたりすること、だと思います。
したがって、お金を減らないようにはどうしたら良いか?を考える必要があります。
投資においてお金が減るパターンはいくつかありますが、代表的なリスクとして下記が挙げられています。

上記のリスクを理解した上で、どうしたら減らすことができるかを考えた時に有用なのが「長期・分散・積立」という考え方になります。
ちなみにnabeも愛用しているWealthnaviのコラムも長期・分散・積立やその他のコラムを書いているのでぜひ見てみて下さい。
この会社のセミナーに行ったのがnabeの初めてのお金の勉強の機会でしたが、とても分かりやすく正直な会社だと感じましたので個人的にはお勧めです。
CEOの運用成績も包み隠さず載せている点が特に好感が持てますね。笑
長期投資
投資をすると金融商品の価値が上がることでリターンがもらえますが、このリターンを使ってさらに投資をしてお金を増やしていくことを「複利」と言います。有名な話ですがアインシュタインの言葉で「複利は人類最大の発明」と言っているほどです。
例えば1万円の株を1年運用し、1万500円になっていたら年利は5%です。
この500円増えた分をさらに投資します。次の年も年利が5%だとすると1万1025円になります。少し増えてますね。
ではこれを10年やるとどうなるでしょう。
結果は1万6284円になります。+6284円の利益です。
20年だと2万6518円になります。+1万6518円の利益です。
30年だと4万3188円になります。+3万3188円の利益です。
※投資を始めれば分かりますが、年利5%が毎年コンスタントに出ることはまず有り得ないのであくまで参考値です
このように、時間が経つにつれて指数関数的に増えていくのが複利の凄さです。この恩恵を得るためには投資をして儲かった!と思いすぐに使ってしまうのではなく、そのお金で再投資をすることです。これがよく言われるお金に働いてもらう、という考え方です。お金がお金を産むのです。
時間が鍵となるのでできるだけ早く始めればそれだけ運用期間が長くなりますので最終成果に大きく影響します。20代で始めれば最高、30代で始めても優秀、40代で始めても大丈夫、50代で始めると少し遅い、60代で始めるのは遅い、などと言われていますが人生100年時代ですので60代からでも始める方はいらっしゃると思います。
少なくとも10年くらい続けないと複利の恩恵を受けられないので、早めにスタートを切りましょう。逆に言うと早ければ早いほど複利の恩恵を受けられるのです。
重要なことはもう1点、経済は上がる時も下がる時もありますが、基本的には世界的にかつ長期的に見れば右肩上がりです。下記グラフを見ると分かりますが、毎年前年よりも1~7%程度で成長しています。

ただしリーマンショックや新型コロナウイルスなど10年くらいの単位で経済的なイベントが起こってしまうため、タイミングが悪いとここで大幅なマイナスになってしまい投資を諦めてしまう人が大多数いるのです。
そして「ほら見たことか、やっぱり素人が手を出すからそうなるんだ」と投資を敬遠してしまうのです。しかし、そのマイナスは世界的かつ長期的に見ればいずれは上がっていくことでしょう。10年程度だと経済の上下に資産が左右されやすく、人によっては投資を諦めてしまうので、それをなんとか乗り越え、長期的な世界の成長に少し乗っかって恩恵を受ける、というイメージを持ちましょう。
分散投資の重要性
不動産価格や株価、金や石油の値段が日々変動しています。なにも無い時は小さい変化ですが最近の新型コロナウイルスでもそうですが世界的なイベントがあると急激に上がったりガクッと下がったりします。
こういった日々の値上がりや値下がりがある中でベストなタイミングでベストな金融商品を買うのは一般人には不可能です。そこで行うべきことが分散投資です。
分散には色々な分散がありますがここでは3つに分類します。
1.金融商品の分散
2.地域の分散
3.為替の分散
です。
投資の有名な言葉に
「1つのかごに卵を盛るな」
という言葉があります。もしかごを落としたら全ての卵が割れてしまいますね。なので別々なかごに盛ってリスクを分散させましょう、ということです。具体的な内容は下記に続きます。
金融商品の分散
例えば株を買う時にある1つの会社に100万円投資!というのはNGです。新型コロナウイルスのような出来事があると株価は急落し、下手したら倒産する可能性があります。
投資の世界で言うと、株だけではなく債権、不動産、金など幅広いものにバランスよく投資をするという考え方です。
どれかが悪くてもどれかが良ければ全体としてバランスが取れますのでリスク回避になります。また、株を買う場合も1社だけでなく数百社に投資ができる株の詰め合わせのようなETF(漫画で分かるETFの解説はこちら)というものを買うと、例え1社が潰れたり不祥事を起こして株価が急落してもその他にも数百社あるので大した影響を受けずに済みます。
業種も様々な分散が必要です。コロナ禍では飲食などのサービス業や不動産が打撃を受けましたが一方でNetflixやAmazonや任天堂などは株価を上げています。
分散することでどこかが悪くてもどこかでカバーするということが重要です。反対にどれかが良くてもどれかが足を引っ張っているパターンもありますが。笑
長期・分散・積立のイメージはローリスク、ミドルリターンです。大儲けはできないけどリスクを抑えつつそこそこの成果を目標とするイメージです。
1社に100万円を突っ込んでもしその会社が急成長したらめちゃくちゃ儲かりますが、長期・分散・積立ではそういうことは不可能です。めちゃくちゃ儲かるものにはめちゃくちゃリスクが伴うので、そこは忘れないようにして下さい。
地域の分散
例えば日本人だからと日本にばかり投資するのではなくアメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地に投資をする必要があります。
北朝鮮のミサイル発射によって日本の株価に影響が出たり、地理的要因というのは投資をする際に非常に重要になります。また国交の関係も同様に重要です。新型コロナウイルスが発祥した中国の影響を受けて、中国が最大の貿易相手国である豪ドルが急落するなど、国際化社会は世界中を超えてさまざまな要素が複雑に絡み合っているのです。どこでなにが起こるか分からない状況において、1つの国に集中して投資することはリスクです。
地域の分散のもう一つの理由はしっかりと利益を確保するためです。ここに日本と日本以外の代表的な世界の株価指数を比較したグラフがあります。

さらにこちらはGDPの推移です。

悲しいことですが日本はこの数十年全く成長していません。一方で世界は着実に経済成長をしています。リーマンショックのある2008年頃に株価もGDPも下がっていますが、それでも長い目で見ると回復しています。短期的に切り取ると上下していますが、長期的に見るとしっかりと世界は経済成長しています。この成長する世界に投資することで恩恵を受けることができる、という考え方です。
為替の分散
日本円は世界的に見ても比較的信用が高い通貨ですが、いつ何が起きるか分かりません。今後もし円安になった時、現金の価値は相対的に下がります。もし100円を持っていても1ドル100円と200円では買えるものが倍変わってきます。特に資源が少なく輸入に多くを頼っている日本では為替の影響をしっかりと頭に入れておく必要があります。こういったリスクを下げるために日本円だけでなく、米ドルなども組み込みながら投資をする必要があります。
仮に資産の半分を日本円と米ドルで分けていたら円高になろうが円安になろうがトータルで見るとプラスマイナス0なのでリスクを抑えられます。
持つべき為替はやはり最も世界で流通している米ドルですが、外貨建ての保険は豪ドルで行う人もいるため、FPと相談するなどして各人に応じたポートフォリオを組めばよいと思います。
積立投資でコツコツと
積立をすべき理由は
「ドルコスト平均法」
という理論に基づきます。
よく初心者にありがちなのが「今は高いらしいから安い時に買いたい」と言う考えです。安い時に金融商品を買いたいという気持ちは理解できますが、素人に読み切ることは不可能です。
そこで出てくるのが「ドルコスト平均法」です。継続して高い時も安い時も機械的に定期的にコツコツ買い続けることで結果的に購入コストを平均的にし、日々の金融商品の金額の変動に左右されないようにする手法です。
損をしたくないがために、株価が安くなるタイミングを狙って投資を始めたい、と言う人がいますが大きな間違いです。安くなるタイミングを待つ間に「複利効果」を作り出すための「時間」というアドバンテージを逃してしまっているのです。それよりもまず買い始めて継続購入することで全体の金額を均していくことの方が重要です。
特に積立投資は毎月自動引き落としなどにし、人間の感情に左右されずに機械的に行うのがおすすめです。
投資をする上で覚えていて欲しいのは、
人間の感情ほど投資の邪魔になるものはない
ということです。
根拠のない、
値上がりしそう
値下がりしそう
という都合の良い思い込みで失敗するのが人間です。(nabe自身も1回失敗しています。頭では理解したつもりでしたが実践できていませんでした。)
ですので、苦手なところはすっぱりやめることが大事です。
まとめ
以上が投資における超王道である「長期・分散・積立」の考え方になります。なんとなくいけそうだなーと思いましたか?この理論は当然わたしの発案ではなく投資の神と呼ばれるウォーレンバフェットをはじめ世界中の資産家が行っている手法です。前述の通り金融庁でも推奨していることから決してギャンブル的な要素ではないと言うことが分かってもらえるかと思います。気付いた方もいると思いますがこれらの考え方は「どうやってお金を増やすか」よりも「どうしたらリスクを抑えられるか」に重きをおいています。
リスクを最小限にしつつ世界の長期的な経済成長にコツコツ投資して恩恵を少しもらう、というのが根本的な考え方です。そしてこの考え方はidecoでも積立NISAでもwealthnavi でも同じです。安定した資産形成するための骨子になる考え方なのでしっかりと理解し、自信で納得した上で投資に臨みましょう。
また「長期・分散・積立」でググればもっともっと詳しく丁寧に分かりやすいまとめがいっぱいあるのでぜひ色々見てみて下さい。
※本記事は投資の考え方を個人でまとめたものであり、この記事の内容によって投資を行って損失が出た場合でも責任は負いかねます。また、必ずしも損失を無くすもしくは利益を保証するものではないことをご了承ください。個人の責任において必ず無理の無い範囲で行ってください。また、内容については検証を行っておりますが、あくまで金融のプロではないため解釈や表現に間違いがある可能性がございます。もしご指摘がございましたらお手数をおかけしますが問合せフォームにご一報をお願いします。